ユニバースとコスモ

 プリンストン大学のヘイスティング博士が徳島市で講演するというので、20日、妻と聞きに行った。在日23年という日本通であり、賀川豊彦をこよなく尊敬する牧師でもある。昨年、賀川の『宇宙の目的』を翻訳した。賀川が生涯をかけて書き上げた作品は難解である。生物の進化、岩石の歴史から始まり、原子と宇宙の構造の類似性に至るまで、独自の視点で考えた。神という言葉はほとんど出てこないが、不思議な法則性を帯びたこの宇宙が大いなるものによって設計せられたに違いないという結論を導く。

 日本語の『宇宙の目的』の表紙には「Purpose of Universe」とあるのを翻訳では『Cosmic Purpose』として理由について質問した。Universeは学問の世界の言葉で、Cosmoはもっと広い概念を持っているはず。賀川の弟子、小川清澄は、出版直後にニューヨークのジャーナリストに『Cosmic Purpose』のことについて語った記事がある。そもそも『Cosmic Purpose』の方が語感にパンチがあると思いませんかなどと説明してくれた。なるほど、神の存在を感じさせるのはCosmoの方だ。(平成27年11月22日)