2012-05-01から1ヶ月間の記事一覧
――戦闘的平和運動の展開―― 一九〇七年ノーベル賞をもらったルコント・ドノイの「人類の運命」によると、宇宙進化は、ほとんどその方向を決定している。混雑し混沌とした中から良心生活へまで発展している。人間社会には戦争もいく度かあり、性欲方面の失敗も…
「平和」は仮想ではない。平和は、夢ではない。平和は、我らの憲法に、保証せられ、平和は、我らの戸口に待っている。 然し、心の平和は、日本に、来ていない。心から、始めなければ、絶対に、平和は恒久的であり得ない。 そのために、平和は、受胎告知の日…
北天に秋北斗は瞬くゝ! 千億年の歴史を笑て、彼はひとり瞬く。地軸は西に傾き、東に北に、二十三年度半の傾斜に、さらに十七度を加えて、振動する。その周期二万六千七百年! 堯も告げず、禹も周も未覚のまゝに過ぎ行く。 宇宙の壮大は蔽うべくもなく、天空…
――平和の可能性―― 獅子は牛の如く藁を喰い、幼児は毒蛇の洞に戯るとも害われることなき世界を昔の予言者は夢みた。 生存競争による進化論を提唱したチヤルス・ダアヴヰンの甥サー・フランシス・ガルトンは「人間機能の研究」においてかくの如き空想が現実と…
敵を愛する精神 愛国心だけでは足りない ロンドンの大英美術館の東側に一つの銅像がたっている。背面は十字架。前面は、イギリス兵でない他国の軍装をした負傷兵をやさしく掻い抱いている一人の看護婦の像。そして像の台石には「愛国心だけでは足りない」と…
私は飛行機を 発明できません しかし 今朝私は おそろしいものを 発見しました。――いや 発明といったが 善いでせう。 銀、金、銅、鉛色―― 恐ろしく 光る 私の衣服の縞柄―― 汚れた衣服の 私はその瞬間 縞柄とは 信じませんでした。 神の家の窓と思ひました。 …
私「盲目の日本の盲目の指導者、私は監房に閉ぢ込められて、日本 の落ちて行く将来が心配になる」 私がそう云って、独言を云っていると、目頭の涙が小さい声でさ さやいた。 涙「実際、日本はだめですよ。すべてに行きづまってゐる日本に希 望なんて持てるも…
マルチン・ルーテルが、宗教改革を始めた頃、ライン川の上流スヰスのツーリッヒに山上の垂訓を実行せんとするヤコブフッテルの一団が、無傷害愛運動を始めた。又ライン川の下流に於て、シモン、メノールが同じ頃、無傷害運動を始めた。この時代、マルチん・…
一 一八七一年、普仏戦年後疲弊した独乙を救わんとして、一士官ライファイゼンが、自分の住んでゐる町、ライン河の畔たるハムデスブルゲに一つの協同組合を作った。これが農業協同組合の始めであって当時英国マンチェスターにあったロッチデール消費組合とは…
キリストに似る者 「我らは他の使徒たち・・・の如く、妹姉たる妻を携うる権なきか」と云ってゐる。当時。イエスの弟子達は伝道旅行に妻も一緒につれて行ったらしい。パウロは妻君でもかまわないぢゃないかとパウロ我等はみな面覆なくして、鏡に映るごとく主…
世界国家聯邦への構想 ――最高の道徳を基礎とした地区聯邦案―― 平和を基礎とする世界国家と云うものは、冗談事や、ごまかしや、不公平や、非科学的な方法で来るものではない。少しでもキリストが教えるような高き道徳から離れるならば、それは全く望みのない…
子供の時は創造を理解しうる。しかし保存の工夫も知らなければ、修繕の原理も理解出来ない。娘になっても人形の保存の工夫や、衣裳の保存に苦心する。しかし、母になってはじめて、子らのために靴下を修繕し、おむつを洗濯する苦心がわかる。 人類の意識生活…
国際平和協会機関誌「世界国家」(改題「世界連邦」)に掲載された賀川豊彦のコラムのテキスト化が終わりました。本日から連載します。国際平和の精神的基底 生存競争の哲学と国際平和 国際平和の機機に貢献する政治的、社会的、経済的条件は、根本的であら…