2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧

日本新憲法再改正の必要性 国際平和協会機関誌「世界国家」(一九四九年十一月号)

日本新憲法再改正の必要性 新しく出来た西ドイツ連邦共和国は初めから世界連邦加入の目的を以つて、軍事、外交に関する限り主権の一部を削ることを規定してゐる。フランス新憲法も、またイタリアの新憲法も同一のことをその憲法に規定し、主権の一部を削り、…

世界連邦国家の発明 国際平和協会機関誌「世界国家」(一九四九年九月号)

世界連邦国家の発明 自然科学が発達する程度に於いて、社会科学が発達するならば、世界の戦争も流血革命も、ないはずである。レニンは、暴力の組織化を国家と云っている。そして、レニンに追従するものが多い。然し私は、暴力の組織化を社会科学と云う事を、…

日本の将来と基督精神 国際平和協会機関誌「世界国家」(一九四九年六・七月号)

日本の将来と基督精神 ――日本の基督教よ! 何処へ行く?―― ユダヤ民族の宗教的精神 ユダヤ民族の歴史は、奴隷解放から始まっておる。その解放は、武力や権力による闘争でなく、神の守護と指導とを信じて、民族全体が砂漠に逃げこんだのである。彼らはやがて…

共産主義と基督精神国際平和協会機関誌「世界国家」(一九四九年六・七月号)

共産主義と基督精神 マルクス経済病理学 マルクスの資本論の解剖は、経済病理学としては、正しいものである。然し、それは社会病治療学でもなければ、社会政策学では勿論ない。それを社会治療学と考えたり、社会政策学と考えたところに、一種のヒステリアが…

平和なくして文化なし 国際平和協会機関誌「世界国家」(一九四九年六・七月号)

平和なくして文化なし ――文化創造の基盤としての平和―― 文化の条件としての平和 文化の創造は平和を条件とする。戦争に使うエネルギーを、平和の創造に使用しなければ、文化の発展は絶対にない。だが、世界秩序が維持されるために、相当大きな意識の目醒め、…

ヴェニスの石の精神 国際平和協会機関誌「世界国家」(一九四九年六・七月号)

マルクスは機械が発展し始めた時代に、驚いた余り、歴史を決定的に考えて、「凡ての文明文化は、その時代の唯物的生産の形式によって主として決定せられる」と論じた。それが彼の有名な唯物史観である。この立場は唯心主義に立つ者とは、正反対の立場であっ…

文明批評家ラスキンの回顧 国際平和協会機関誌「世界国家」(一九四九年五月号)

――彼の唯心的経済史観に学ぶ―ー 自然の奥に神の黙示 一九四九年一月二十日は、十九世紀の三大予言者の一人と称せられたジョン・ラスキンの五十年記念日であった。唯物共産主義の盛んに唱えられる今日、精神主義的社会主義者であった彼を回顧することは無駄で…

産児調節論 国際平和協会機関誌「世界国家」(一九四九年五月号)

善種は増殖せよ 社会改造は、単なる制度の改造を意味しない。それは人間の改造を意味して居る。人間を改造せずして社会の改造はあり得ない。不幸にして人間改造は一代ではできない。道徳や、宗教は、人間の霊的方面を改造し得るが、肉体的方面は数代を経ての…

世界平和の創造 国際平和協会機関誌「世界国家」(一九四九年五月号)

世界平和の創造 ――ライオン飼育と人類の平和教育 世界が二つの陣営に分裂し、ソ聯とアメリカが将に第三次世界戦争を起すのではないかと案じられている。 一体世界平和機構を創造し、発見する道はないだろうか。私は断じてあると云う。雷が電燈となり、狼が犬…

世界平和への道 国際平和協会機関誌「世界国家」(一九四九年三月号)

――国際協同運動を促進せよ―― 古代の戦争は、主として宗教の名により或は異民族間の闘争乃至は単に征服慾の満足のために為された戦いかの何れかであったが、現代に於ける戦争の起因は殆んど凡てが経済問題から発足している。同様に、現代ではその平和の解決策…

生存競争に現われた宇宙目的 国際平和協会機関誌「世界国家」(一九四九年二月号)

――苦痛の進化と効用―― 猫が鼠を食い、羊をライオンが食う、こうした見るに堪えないような生存競争が、どうして愛なる神の支配する宇宙において、あり得るのだろうか。釈迦は生、病、老、死、の四苦を見て、人生を悲観したというが、我々もこうした宇宙悪を否…

家庭の科学化ヘ! 国際平和協会機関誌「世界国家」(一九四九年二月号)

或る青年がブラジルから帰って来て私に云うには「ブラジルはもう飽き飽きした、何しろ彼地は人間並のものを喰っていない。馬の喰う玉蜀黍だから耐らない」と。それで私は「独逸人は何を喰べて居るか」と聞くと「やはり玉蜀黍にパン種を入れて焼いて喰ってい…

戦争は回避できる 国際平和協会機関誌「世界国家」(一九四九年一月号)

日本無戦時代の回顧 戦国時代、日本においても、どこかで毎目戦争をしていた。それが織田、豊臣を経て、徳川時代になると二百五十年間、一度も大きな戦争をしないですませることができた。もちろん、その時代にも、二百六十一の大名がいて、武装解除をしてい…

北氷洋の聖雄グレンフェル 国際平和協会機関誌「世界国家」(一九四八年十二月号)

伝道は冒険である ダブリュ・トムソン・グレンフェルは七十数歳、今猶健在でカナダの北方ラブラドルに、医療ミッションを経営している。彼は一八五六年二月二十八日に英国聖公会の信仰を持った貴族的な家庭に生れた、幼い頃から学校がよく出来て、高等学校時…

メノナイトの絶対反戦主義 国際平和協会機関誌「世界国家」(一九四八年十二月号)

山羊を送ってくれる人々 戦後日本に山羊や牛を親切に送ってくれる人々は、普通ブラザレンとよばれているけれど、実はメノナイトと称せられている団体に属しているのである。メノナイトは四百年以上もつゞいている誠に珍しい宗団で、絶対反戦主義キリスト教的…

青年よ永遠の光源となれ 国際平和協会機関誌「世界国家」(一九四八年十二月号)

ファウストは海に畑を作ることを夢想した。私は海に牧場を設くることを夢見る。太平洋に鯨を飼い、海豹を大西洋に養えば、世界の人口が百億になっても、食糧に窮することはないであろう。海洋を征服せよ、海洋を。黒潮に国境はなく、怒濤に民族性はない。日…

地球の覚醒 国際平和協会機関誌「世界国家」(一九四八年十月号)

――世界連邦国家の出発―― 春が来れば、蕾は開かずにはおらぬ。太陽が南から帰れば結氷は解けるものなのだ。霊魂の蕾が! そして人間の意識の結氷が不安定になった日に全人類連帯の世界連邦の芽が生えるのだ。それを空想と笑ってはならない。誰れが南太平洋の…

愛の王国を建てよう 国際平和協会機関誌「世界国家」(一九四八年十月号)

革命は一日にして成る。ザア・ニコラスは、クロンスタットの砲声に驚き。ケレンスキーは戦わずして逃げた。キールの一撃はイザル・ウヰルヘルム三世の王冠を射落した。 然し、愛は一日にして成らない。 愛が一日にして成らないから、民衆は容易なる剣銃の道…

刀剣は止針にも値せず 国際平和協会「世界国家」(一九四八年九月号)

刀剣は止針にも値せず 剣が社会を作っていた時は、もう過ぎた。刀が日本魂だなどと考えている時は、もう過ぎた。愛の外に日本の精神はもってはならない。愛は最後の帝王だ。愛の外に世界を征服する者はない。世界帝国の夢想者は凡て失敗した。刀剣の征服は一…

世界国家と警察制度 国際平和協会機関誌「世界国家」(一九四八年九月号)

世界国家の創設 日本は新憲法の前文とその第九条とにおいて、戦争を放棄して平和国家の建設を宣言した。戦争放棄を宣言したのは、文明国としては三度目である。第一回はちようど百年前の一八四八年二月にフランスが行い、第二回はスペイン共和国が国際連盟の…

完全なる愛 国際平和協会機関誌「世界国家」(一九四八年九月号)

キリストは、我儘な道を歩まず、疲れを知らぬ人間として歩いた。しかも、人間として自分の意識を目醒めさせて、神の如く歩いた。人間の中に神の力が帰ってきて、その証明にならなければ宗教は役に立たぬ。 キリストは孔子や釈迦とも違って、完全なる愛を実現…

神と永遠の道を撰べ 国際平和協会機関誌「世界国家」(一九四八年七月号)

神と永遠の道を撰べ ――暴力主義と唯物主義を排す―― 闘争主義を排す 天地宇宙の理法は、ニーチェ、トライチュ、スチルネル等が唱導し日本の軍閥が考えた「闘争が宇宙を進化せしめる」というようなものではない。その反対だ。互助が巧く行けば行くほど、進化は…

ビタミン及びホルモンと撰択性 国際平和協会機関誌「世界国家」(一九四八年七月号)

更に血液に含まれている元素の問題、或いはビタミン・ホルモンの問題を考えるとき、我々の想像もつかぬ程霊妙な撰択性が血液の中に働いている事を知るのである。血液に含まれている砒素は、卵子が八百匁の赤坊にまで大きくなるためには必要なのであるが、妊…

科学と宗教の調和 国際平和協会機関誌「世界国家」(一九四八年六月号)

古代エヂプトでは、科学と宗教は完全に調和していたが、近代における自然科学の進歩により、科学と宗教が分離するに至った。哲学者カントは純粋理性批判において一旦、科学と宗教とを分離させたが、実践理性批判では、彼の形式的合目的論において、も一度科…

潮時を忘るな 国際平和協会機関誌「世界国家」(一九四八年七月号)

キリストは「時」を行動に対する大切な要素として、いつも計算に入れられた。 舟には潮待ちと云うものがある。逆潮では、瀬戸内海でも、朝鮮の仁川でも、九州の有明湾でも、巡航の出来ない場合がある。キリストすら、エルサレム行に「時」を待ち合せられた。…

無 言 賦 国際平和協会機関誌「世界国家」(一九四八年六月号)

無事なる時、無難なる時、多難を知り、多事を予則し、 悠々天と共に黙し、梢の如く、天に向つて呼吸することも神韻の福音である。 天は語らずしてよく語り、大地は黙々として行動する。 母胎に成長する胎児は成長することを知りて語ることを知らず、 ピラト…

闘争の世界より恒久平和の世界へ 国際平和協会機関誌「世界国家」 (一九四八年四月号)

階級闘争を主張し、暴力革命を考えている者がある。しかし、これは社会進化の妨げである。階級闘争は事実としてこれを認めるとしても、この事実を超えた社会文化のあることも認めねばならない。それでなければ社会は退化する。階級闘争を事としたローマを見…

春の巣立ち 国際平和協会機関誌「世界国家」 (一九四八年四月号)

雪は 水滴に更衣して 五色の礼装に 自ら包み 葉より葉を伝う 雨垂は 雪の変装に柏子をとる 朝日は 春を呼び醒し 森は忽ちにして 息をふき返した 小鳥は 梢に燥ぎ 陽炎は春の復活に先躯して 天上に駆け上る 武蔵野の 午前九時 燦々たる太陽は 真白き雪の画布…

性による死の到着 国際平和協会機関誌「世界国家」(一九四八年四月号)

生存競争を経ずして、「性」というものが、先に地球に到着した。性が複合的進化をもって、あらゆる条件、客観的環境に適応しつゝ進化発展しようという目的を持ちはじめてから、地球の形相が違って来た。上へ上へと複合進化しようとすると、地球の上に原点が…

生存競争に就いての一考察 国際平和協会機関誌「世界国家」(一九四八年三月号)

――世界苦とその救済―― 生、病、老、死 生、病。老、死、この四つの苦しみを印度の釈迦牟尼は無明の本質と考え、王宮を捨て、仏陀枷耶の六年間の隠遁生活をはじめた。今日世界で、一番問題にしている事はやはり、同じ四つの苦しみであろうと思われる。即ち、…