2013-01-01から1年間の記事一覧

日本の失業保険が始まるのは神戸

日本において、失業者共済組合を最初思い付いたのは、神戸新川の貧民窟の私の伝道を永く助けていて下さる竹内勝氏である。彼は神戸市の不熟練労働者の間に、私の忠告に従って共済組合を組織した。それを彼は昭和2年(1927年)以後、失業者の救済にまで発展さ…

新見栄一が見た関東大震災

それは九月一日の正午であった。 新見栄一は、法華経に関する論文を書いてゐた。その時、彼は小さい地震を感じた。その日の午後、新聞の号外が出た。然しそれには別に大したことも報ぜられなかった。たy電信電話が不通だとあったのみであった。 その翌日は…

Not by myself by Fletcher Jones

2013年の春、神戸の賀川記念館にオーストラリアで大手衣料品業を打ち立てた故フレッチャー・ジョーンズ氏の長男からジョーンズ氏の著作「Not by myself」が届いた。ジョーンズ氏の成功物語はすでにドキュメンタリーとしてオーストラリアで放映され、その中で…

神を愛することは「野の百合のようになればいい」

『小説キリスト』から、イエスとマリアの会話「じゃあ、先生、神様を拝むには、どうすればいいですか?」 イエスは、また、庭の爪切草の方に顔を向けて、静かに答えた。 「神を愛し、人を愛しさへすれば、それですべてが尽きているのです」 マリアは、なおも…

長屋住ひ(「涙の二等分」から)

涙の二等分のテキスト化が終わった。冒頭の涙の二等分の詩はみなさん読んだことでしょう。 二番目の「長屋住ひ」を紹介します。長屋住ひ光線の 強い 町を歩いてゐると ひょっと 汚じみた着物の 袖口に 眼がつく。疲れて ひょっくり 夕方 がらんとした 淋しい…

「五月雨」―賀川豊彦著『壁の声きく時』

音をたてて霖雨が降りしきる。 天は惜しげも無く、真珠の玉や、水晶の玉を下界へ投げつける。それが五色に塗ったように輝いている貧民窟の瓦屋根の上で砕ける。パリパリと音がするのは真珠が瓦に当って砕けた音である。バチバチと響くのは水晶の玉が破裂した…

盧溝橋事件で北京を守った清水安三

3月に財団法人霞山会と財団法人国際平和協会が共催で、北京の朝陽門外の聖人といわれ、戦後、桜美林学園を創設した清水安三の日中友好に尽くした偉業を振り返るシンポジウムを開催する準備をしている。 そのため清水安三『石ころの生涯』を数日前から読みふ…