少年平和読本

世界国家の話(4)−司法権と護民官 賀川豊彦

世界共和国では、前に申したように人種差別を始めとし、階級、性、信条、教義等の差別を禁じ、以前には、しばしばそれが戦争の原因となった物資原料の入手や、土地のエネルギー源の利用などについての妨害行為を禁じまた一切の奴隷労働を厳禁し、その他交通…

世界国家の話(3)−連邦議会と大統領 賀川豊彦

無政府状態の世界 世界国家は一つの法で治められる社会ですから、法律が一ばんモノをいいます。今日の世界では、なるほど、各国家の内部だけでは、それぞれ法があり、法によって治められていますが、これが世界ということになると世界法は定められておらず、…

世界国家の話(2)−国家の終焉 賀川豊彦

「最近の攻撃武器の発達は、歴史上その比を見ない大量の人殺しの手段を作り出しました。これ等の兵器は他からの攻撃を防ぐというよりは、はるかに侵略に役立ちます。ですから、もし将来戦争の起きるのを放任すれば、人類の大部分は滅び、都市は壊され、土地…

世界国家の話(1) 原子爆弾の危険 賀川豊彦

戦争は絶滅させることができるでしょうか。ブロッホという学者は「科学が発達すれば、自然に戦争はできなくなる――」と申しました。この予言は或る点までは的中しました。原子爆弾や水素爆弾が出来たというので、米ソ戦争もないだろうといわれているのでもわ…

四方の海みな同胞 賀川豊彦

中国の春秋時代に、呉王夫差が、越の国を伐つて、父の仇を報じようと志し、復讐の心を忘れぬため、毎夜、薪の中に寝て、自ら身を苦しめたといいます。また一方、越王匂踐も、呉の国を伐つて、会稽の恥をそそごうと志し、膽を室内に掛けて、これを嘗め、片時…

侵略者の末路 賀川豊彦

昔ロシアの或る田舎に一人の貧しい百姓が住んでいました。自分の所有地が少ししかないので「もつとたくさんの土地がほしいなあ」と言い暮らしていました。すると或る大地主がそれを聞いて『では、これから馬に乗つて、夜までの間に、ほしいと思う廣さの地面…

家畜になった百獣の王 賀川豊彦

狼は子羊と、豹は子山羊と共に臥し、仔羊や牡獅子は肥えた家畜と一しょに居て、小さい人間の童に導かれ、牡牛と熊とは同じうつわの食物をとり、熊の子と牛の子が一つところに住む。そして獅子は牛のように藁を食い、人間の乳呑児は毒蛇の住む洞穴の中でたわ…

小鳥の世界 賀川豊彦

お互いに憎しみあい、奪い合い、殺し合いをして、道徳の愛も忘れている人間は、小鳥にその純潔と、道徳とを教えてもらわねばなるまい、とわたしは思います。 平和な小鳥の世界! 小鳥は、仲間同士相睦み、相助け合い、わずかの穀粒で満足して敢えて貧らず、…