賀川豊彦顕彰シンポ:社会連帯のあり方探る−13日・神戸【7月11日毎日新聞神戸版】

 賀川豊彦顕彰シンポ:社会連帯のあり方探る−13日・神戸

 賀川豊彦(1888〜1960)が、神戸市中央区キリスト教伝道を通じた救貧活動を始めて今年で100年を迎えるのに合わせ13日午後1時半〜5時半、シンポジウム「神戸から地球へ 共に生きるために〜地球規模で広がる格差社会阪神淡路大震災からの呼びかけ」が神戸市中央区下山手通4の県公館で開かれる。

 阪神大震災(1995年)のボランティア活動を振り返り、社会の連帯のあり方を考えるのが狙い。アジア地域で難民や災害被災者を支援するNGO「アジアボランティアセンター」(大阪市)と県などが主催する。

 日本の生活協同組合労働組合、信用金庫などの祖で、関東大震災(1923年)の被災地でも日本初の「ボランティア」活動を行った賀川豊彦は神戸市生まれ。1909年から中央区に住み込んで貧しい人々の救済にあたり、晩年は徴兵制廃止や核兵器反対など平和運動にも身を投じた。

 シンポでは、賀川の業績と震災後の市民活動を振り返りながら、グローバル化の進行で経済・貧富の格差などさまざまな『ひずみ』が起こる現代社会で、市民の連帯やボランタリー社会の在り方について考える。貝原俊民・前県知事が「阪神・淡路大震災と『賀川精神』」を、野田正彰・関西学院大教授が「心のケア 100年の時空を超えて今、求められる課題」をテーマに、それぞれ基調講演する。

 その後、「社会運動の国際的連帯」と題してタイ・バンコクのスラムで救援活動をしながら震災時、多額の義援金を被災地に贈ったプラティープ財団理事長のプラティープ・ウンソンタム・秦さん、国際看護師協会長で近大姫路大学長の南裕子さんらが、芹田健太郎愛知学院大大学院教授のコーディネートで討論する。入場無料。当日参加可。【中尾卓英】