賀川の経済学にわが意を得たり! 滝川好夫教授が講演

 『資本主義はどこへ行くのか』(PHP研究所)の著者で神戸大学経済学部教授の滝川好夫氏が11日、明治学院大学で開催された賀川豊彦学会で「サブプライム危機をどう解決する−ケインズ、賀川、フリードマンの鼎談」と題して講演。「昨年夏、賀川豊彦と出会い、その著書を夏休み中、読みまくった。私は金融論が専門だが、賀川の人格経済でわが意を得たりという思いに至った」と述べ、著書にあるように資本主義でもない第三の道を模索すべきだ強調した。
 賀川豊彦献身100年に関連して「いま求められるのは賀川がどう語ったかとか、何を書いたかということではない。賀川が何を言いたかったのか、何を言うべきだったかという現代版賀川を考えていかなければならない」と指摘した。そして、フリードマンは競争主義、市場主義、ケインズは政府の介入主義、第三の道として賀川の経済学を位置づけたいと述べた。
 講演で滝川教授は、現在の世界の経済問題について、グローバルな経済のインバランス、日本の超低金利、金融技術の進歩、形式的な内部統制など世界が抱える基礎的な問題点を列挙し、それぞれについてケインズ、賀川、フリードマンの主張を展開するなどユニークな話術で賀川の人格経済について分析した。
 賀川の経済学については「ケインズらには並ばないが、政治、経済、社会学と学際的なことをたった一人で行った。実に羨ましい」と述べ、賀川の再評価に関しては「あるべき人が賀川を評価すること」によって再び賀川に光があたることになるはずだとの認識を示した。
 【筆者の感想】経済学者として賀川に再び光を上げた滝川教授はどんな人間なのだろうかと思って賀川学会に参加した。雄弁である。経済危機に際して、新たなパラダイムを模索し、積極的に賀川経済を評価する勇気に敬服した。近代経済の学徒である滝川教授がコープこうべを通じて賀川と出会い「病にかかったように賀川を読んだ」という、経済学者に賀川の著述が新鮮に映ったということが逆に驚きであった。帰り道仲間とコーヒーを飲みながら議論した。
「そもそも大学の経済学部っていつ生まれたのか」
「むかしは法学部の中に理財という学問があって、それが経済学部に発展した」
「なるほど理財ね、財務省にも理財局ってある。これは公の経済だ」
「じゃ、私的経済はやはり、ケインズあたりからかな」
「いやアダム・スミスじゃないか」
「アダム・スミスだって道徳経済を説いたはずだ、そのむかし計量分析などあるはずもない」
「一時は一世を風靡しマルクス経済学はどこにいったのか」
「そういう意味で、滝川教授が言っていた“あるべき人が賀川を評価する”ことを待たなければならないのか」・・・・・。(伴 武澄)