友愛書房(ゆうあいしょぼう)

 このブログの日付と実際の書き込み日はずいぶんと違うことに気付いた読者も少ないと思う。とにかく“毎日”書くことを義務付けている。引っ越しで日が空いたから、10日ほど追い掛けないといけない。
 先日、賀川豊彦献身100年記念事業の広報委員である年配の方とお茶を飲んで話し込んだ。
「僕は上北沢に引っ越したのですが、どこにお住まいですか」
「上北沢3丁目ですよ」
「というと資料館の近くで・・」
「父親が賀川豊彦の信奉者で、松沢教会に通ううちに、先生からここに住めといわれて神田から引っ越してきたんです」
「お父さんは何をやっていたのですか」
「父は山梨県富士吉田の出身で、伯父がやっていた神田の古本屋に丁稚で入ったのです。やがて店をまかされて店名も“友愛書房”とし、キリスト教関係の古本屋になったのです」
「あの有名な、というより毎日新聞に載っていた店ですね」
「そうです」

 お父さんはある講演会で賀川豊彦の話に魅せられて、松沢教会に通うようになり、賀川村の一員となった。当時、20軒ぐらいの家族が賀川を慕って松沢村に住むようになっていたらしい。神戸からは3人ぐらい転居してきたという。代が変わっても今も半数ぐらいがまだ賀川村の住民になっている。
 そのむかし、臼井吉見が『安曇野』という大河小説を書いたことがある。相馬愛蔵と黒光夫妻、つまり新宿中村屋の一代記である。革命家としてインドからやってきたラス・ベハリ・ボースを受け入れ、盲目のロシア詩人エロチェンコも逗留した。左翼運動家から頭山満、そして彫刻家の荻原守衛まで登場する明治・大正・昭和を駆け抜けるドラマである。
 『安曇野』にならって、松沢賀川村などという小説を書いたら面白いのではないかと考え始めている。(伴 武澄)
 友愛書房 http://jimbou.info/town/ab/ab0169.html