「2009年は友愛元年だった」と小林先生

 賀川豊彦献身100年記念事業の成果が相次いで発刊されている。同志社、公共哲学センターに続いて、千葉大学の小林正弥先生の著作『友愛革命は可能か』(平凡社新書、2010年3月15日)が発刊された。
 小林先生は、友愛を政治スローガンとして掲げた鳩山政権誕生の意義から説き起こし、クーデンホーフ・カレルギーの汎ヨーロッパ主義における友愛を解説。昨年、邦訳出版された賀川豊彦『友愛の政治経済学』(コープ出版)について、「今後の友愛政治経済学の起点となる歴史的意義を持つ」と高く評価する。
 昨年9月、毎日新聞が「賀川豊彦ノーベル文学賞の候補者だった」と報じたことについては「はじめに」で次のような感慨を語っている。
「私には、政権交代により『友愛』の理念が日本政治に輝き始めたその時に、賀川豊彦が脚光を浴びるというのは、『友愛』の理念がまさに今の日本にとって重要であることを暗示しているようにすら感じられた。2009年は、賀川豊彦献身百年というだけでも記念的な年なのに、『友愛』を旗印にした政権交代という歴史的出来事が生じ、さらに賀川についてこの報道まで加わるとなると、日本での「友愛」元年だったと言えるかもしれない」
 広報委員会は現在、1年間にわたる賀川豊彦顕彰事業を総括し、かつ将来に残る読み物としての報告書を編集中である。なんとか6月までの“出版”を目指しているのでぜひ期待していただきたい。(伴 武澄)