東北の大地震大災害に関して(5)水の文化センター/WORKSHOPの賀川一枝です

題名 : IMG_3066
差出人 : 賀川 一枝
Date : Wed, 16 Mar 2011 21:06:49 +0900

WORKBENCHだより拡大版 水の文化センター/WORKSHOPの賀川一枝です

 地震で恐い思いをした人には申し訳ありませんが、地震発生の日から今日まで、大阪・京都・神戸にいました。今日の未明に車で神戸を出発。高速道路で救援に向かう自衛隊の車に遭遇し「写真撮りたいなあ」と思っていたら、多賀SAという所で、一緒に休憩することになり、念願の写真を撮ることができました。

 督さんの持論〈自衛隊サンダーバード化構想〉というのがあるんですが、自衛隊が武器を捨てて救援部隊になったら世界中から評価される、というもの。いつも、つらい救援作業を一生懸命してくれているのに、「軍隊」ということで嫌われている自衛隊が、誰からも感謝される存在になるためには、闘うための武器を捨てることが必要です。どんな敵であっても、人が人の命を奪うことには正当性がない、という点では、戦争も、自衛隊も、死刑も共通するものがあります。

水の文化35号〈アクアツーリズム〉でお世話になった徳野貞雄先生からも、ご意見いただきました。

 「この度の東北大震災と津波被害は、まさに近代の社会の総決算を迫るものであると思います。我々の社会学では、この10年世界規模でリスク社会の危機(ベックやルーマン)を発信してきました。人間にとって必要なものは、日本のノーベル賞学者の言う工業資源ではなく、空気・水・エネルギー(燃料)・食糧と家族である。被災者の人たちの生存にとって上記5の要件がなによりも必要である。そのことは、平常時における常人にも当てはまる。福島原発で空気が汚染されてはじめて空気の重大さに気づくように、飲み水と暖と食糧が人間の生命を守っていることを身を持って知らされている。これらの要件を、複雑な社会システム(グローバル化した経済システムや情報化システムetc)に委ねることの恐ろしさを痛感する。家族については、その存在自体が人々が生きていく源になっている。と同時に、人が単なる動物としての人類から社会的存在としての人間となる基礎集団を形成し、上記4つの生存要件を生活要件に変化させる役割を永らく果してきたし、現在も果たしている。ただ、貨幣経済の浸透と生産効率から他の派生集団=企業や政府・行政に重点を移されたが、非常時にはこの家族集団が重要性が再確認される。また、震災後の復旧対策において、物的なものや心理的なものに対策が偏るが、家族の在り方や機能が大変重要になってくることを覚えていてほしい」

 人間にとって必要なものは、「空気」「水」「エネルギー(燃料)」「食糧」「家族」、という言葉を肝に刻みましょう。日本は、この五つの宝庫だったのになあ。

一枝

↓ 休憩時間に無邪気にお菓子を買う隊員たち。被爆のリスクは気にならないのかなあ。