宇宙の目的 1

『宇宙の目的』を自炊中。おもしろい内容を拾い書きしたい。

最近日本を訪問したドイツの生化学者ブテナント博士や、同じくドイツのフェリクス博士は、ともに生化学の研究から遺伝子や、プロタミンの研究を発表して、その統計的神秘をわれわれに物語ってくれた。すなわち、微視的宇宙の底に、合目的性の仕組みがあって、雌雄適合の巨視的世界の機構以上に不思議な合目的性の意匠が因子(ジーン)の世界にあることを教えてくれている。人口統計を見ると、大戦争の後には必ず男子の出生率が、女子の出生数に比較して多く、その現象が数年間継続した後、ほとんど男女がほぼ同数になると、出生する男子の増加率が止まるということも、私は不思議であると思っている。

 そればかりではない。戦闘力の弱い生物は増殖力が非常に強く、防衛力がなくとも、増殖力で種族の保存ができるようになっていると思われる。

 有蹄類など、防衛力のないものも、ほぼ雌雄同数に生んでいけば、その増殖が非常に早いために、猛獣にやられても種族の保存には困難しないのである。私には、生物界の増殖統計が、選択的神秘性をもっているように思われてならない。