世界連邦実現に向けた国会決議

「国連創設及びわが国の終戦被爆60周年に当たり更なる国際平和の構築への貢献を誓約する決議」

 国際平和の実現は世界人類の悲願であるにもかかわらず、地球上に戦争等による惨禍が絶えない。 
 戦争やテロリズム、飢餓や疾病、地球環境の破壊等による人命の喪失が続き、核兵器等の大量破壊兵器の拡散も懸念される。 
 このような国際社会の現実の中で、本院は国際連合が創設以来60年にわたり、国際平和の維持と創造のために発揮した叡智と努力に深く敬意を表する。 
 われわれは、ここに10年前の「歴史を教訓に平和の決意を新たにする決議」を想起し、わが国の過去の一時期の行為がアジアをはじめとする他国民に与えた多大な苦難を深く反省し、あらためてすべての犠牲者に追悼の誠を捧げるものである。 
 政府は、日本国憲法の掲げる恒久平和の理念のもと、唯一の被爆国として、世界のすべての人々と手を携え、核兵器等の廃絶、あらゆる戦争の回避、世界連邦実現への道の探究など、持続可能な人類共生の未来を切り開くための最大限の努力をすべきである。 
 右、決議する。 

 平成17年8月2日

 8月2日、衆議院本会議で、「政府は、世界連邦の実現への道の探求など、最大限の努力をすべき」との文言を盛り込んだ「国連創設及びわが国の終戦被爆60周年に当たり更なる国際平和の構築への貢献を誓約する決議」が、圧倒的多数で採択された。 

 国会決議とは、法律の制定を主な任務とする国会において、国政上必要と判断し、法律とは別に可決される決議。法的拘束力はないが、国権の最高機関である国会から日本国民や外国の政府・国民に向けた、政治上の意思表明という性格を持つ。 

 昭和46年(1971)に衆議院で決議された、「政府は核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」との「非核3原則」が、広く国民に支持されその後の内閣にも堅持されてきたことで、実質的に日本の「国是」となっているように、国会決議は政治や外交に少なからぬ影響力を持つ。 

 昭和20年12月、憲政の父・尾崎行雄氏が「世界連邦建設に関する決議案」を帝国議会に提出したが、アメリカの占領軍司令部の承認が得られず、決議は実現しなかった。 しかし、日本の世界連邦運動はその後、米ソ冷戦下で核兵器の脅威が広がる中で大きく盛り上がった。昭和34年6月、人類愛善会が中心となり他団体と共に「世界連邦国家宣言推進運動」を開始。全国署名は、わずか1カ月あまりで130万人分に達し、翌年政府に提出された。 その後も国会決議を求める市民の働きかけや、国会内での努力が続けられたが、 実現に至って来なかった。 

 昨年12月、東京で開かれた第24回世界連邦日本大会(テーマ「ひとつの世界を目指して〜世界連邦樹立を日本の国是に〜)では、「この1年の内にも国会決議を実現させよう」との強い声が上がり、その後、世界連邦日本国会委員会、世界連邦運動協会を中心に準備を進め、世界連邦日本宗教委員会、同宣言自治体全国協議会、同婦人協議会も全国で国会議員への働きかけを行った。 
 世界連邦国会決議は、日本の世界連邦運動にとって、戦後から今に至る長年の悲願であった。それが、被爆終戦60年を迎えたこの夏、ようやく実現したことになる。 

 今後は「世界連邦」が「日本の国是」として名実ともに定着し、広く世に知られていくよう、更なる運動を展開していかなければならない。(M)