ノーベル平和賞のユヌス氏が講演 神戸 【神戸新聞】

 持続可能な開発のための教育(ESD)を考える「ESDシンポジウム イン 神戸」の第二日が八日、神戸・ポートアイランドの神戸国際会議場で開かれ、バングラデシュ貧困層を救う活動を続けるムハマド・ユヌス氏らが講演した。

 ユヌス氏は一九四〇年生まれの経済学者。八三年、貧困層のためにマイクロクレジット(無担保小口融資)を行うグラミン(村落)銀行を創設。二〇〇六年にノーベル平和賞を受けた。

 講演で、農村の貧しい女性に小口融資を始めたころを振り返ったユヌス氏は「通常のビジネスは最大の利益を追求するのが命題」と指摘。「私は人のためになるビジネスを、ソーシャルビジネスと呼んでいる」とし、「より安全で、より美しい地球を次の世代に渡さなければならない」と締めくくった。

 続いて、神戸ゆかりの社会運動家賀川豊彦について語った神奈川県立保健福祉大の阿部志郎名誉学長は「協同組合や貧困者への貸し付けなど、賀川の取り組みもまさにソーシャルビジネス」とし、「ユヌス氏、賀川の二人とも、コミュニティーをどう形成するかが活動のテーマになっている」と指摘した。(河尻 悟)