埼玉新聞に綴られた賀川の農村時計物語(5)
家庭へ月2万個、クリスマスの見返り品ともなる
南桜井村の目覚まし時計 昭和21年10月15日
軍需品製造から急角度に展観、農村鉱業へと時計製作に切り変へた北葛南桜井村農村時計製作所では、目下、同製作所試案になる目覚まし時計製作に津島秀登社長が職場指揮で700余の工員が月産2万個を目標に馬力をかけている。
農村時計製作所では本年3月末、時計製作に着手以来、種々のあい路を打開し8月10日第一回試作品が出来上がり、全国農業会、農林省からも優秀品の折紙がつけられたが、第一回の試作品は製造部で若干欠陥があることを発見、設計のやり直しをし時計製作に最も技術を要する「アンクル」部品の改良に成功、本月末には目標2万個が全国の農業会より各家庭へ御目見得する。
なお農村時計製作所の製品はクリスマスの贈物用として12月中旬には大量米国へ輸出品として積出しされる予定になっている。