高まる賀川豊彦に関する関心 Think Kagawaのアクセスは1000/日

 賀川豊彦が月刊誌「家の光」に連載した協同組合小説『乳と蜜の流るる郷』が8月末、家の光協会から復刻されることが固まった。嬉しいニュースだ。昨年、三河で自主出版された『一粒の麦』以来、『死線を越えて』(PHP研究所)、『空中征服』(不二出版)に続いて賀川作品の復刻はなんと四冊目である。献身100年記念事業のキックオフから3カ月。世間の賀川豊彦に対する関心はどうやら本物になってきそうな雲行きである。
 手前みそだが、昨年8月に「Think Kagawa」というブログを始めた。IBMの「Think」にあやかり、賀川の思想と実践を「考える」という発想だ。サイトは原則的に毎日更新。結果としてコラムは300近くなった。内容は統一性があるわけではない。日々の思い付きで申し訳ないが、継続は力である。当初ほとんどアクセスのなかったサイトに今では1日1000を超えるアクセスがある。まだまだ増えそうでやめるにやめられない。
 神戸プロジェクトとして3月にムハマド・ユヌスグラミン銀行総裁を招いたシンポジウムは関西を中心にマスコミ紙面をにぎわしたが、4月には毎日新聞が夕刊で「賀川豊彦の破天荒な魅力と危うさ」を取り上げ、5月は産経新聞が「賀川豊彦 広がる再評価 自伝小説を復刻」と題して『死線を越えて』の出版を紹介した。
 出版はまだまだ続く。6月には本邦初翻訳『友愛の政治経済学』(原題=Brotherhood Economics)、秋には劇画の賀川物語の出版が予定されている。この2冊には大いに期待したい。『友愛の政治経済学』は1936年の作品とはいえ、資本主義の本質を見抜き、貧困や戦争から脱却するため協同組合社会の建設を説いている。昨年来、経済危機が再び地球に襲いかかっている。あれから70年、時代が賀川を再び呼んでいるのかもしれない。
 10月には徳島県民シンポジウムを開催することになったことも報告したい。いま賀川豊彦は時代に化学反応を起こしつつある。キーワードは友愛だ。(献身100年記念事業ニュースレター8号から=伴武澄・広報委員長)