まだまだ続く賀川出版ラッシュ

 4月に『死線を越えて』(PHP研究所)、5月『空中征服』(不二出版)、6月『友愛の政治経済学』(コープ出版)と賀川豊彦の復刻・翻訳の出版が続いた。去年、三河で『一粒の麦』が自費出版されているから、4冊目となる。8月末には『乳と蜜の流るる郷』(家の光協会)が予定され、徳島では地元那珂川を舞台にした『その流域』を復刻しようと議論が始まった。実現すると献身100年の年に6冊の賀川の著作が世に出ることになる。




 賀川を描いた書籍としては4月に『賀川豊彦を知ってますか』(教文館)が出版され、太田出版の季刊誌『ap』は賀川特集を組んだ。当初5月発売が予定されていた『賀川ハル資料集』(緑陰書房)は7月末に遅れているが、秋に予定されているのは藤生ゴウ作の劇画『賀川豊彦物語』(家の光協会)。
 外国人による賀川伝は10冊以上は出ている。一番有名なのはアキセリング氏が1932年に書いた『Kagawa』。戦後、日本語版も出版された。最近では、アメリカのシェルジン著『賀川豊彦 ― 愛と社会を追い求めた生涯』がある。幅広い外国語資料を渉猟しており、海外での賀川観や外国語資料を探る上でも重要な著作。いまドイツの賀川研究家が90年代に上梓した伝記『賀川豊彦』も翻訳作業が終わり印刷待ちだという。楽しみだ。(伴武澄)