賀川豊彦の足跡見つめ直そう 徳島市で10日、フォーラム 【徳島新聞】
徳島が生んだ世界的な社会運動家・賀川豊彦(1888−1960年)の足跡を見つめ直そうというフォーラム「賀川豊彦の再評価−21世紀のグランドデザイナーとして」が10日午後1時半から、徳島市内のあわぎんホールで開かれる。献身100年記念事業徳島プロジェクトのメーン行事で、研究者らが現代の視点から賀川の再評価を試みる。実行委は、ノーベル平和、文学両賞の候補ともなった「徳島の偉人」を広く知ってもらう機会にしたい考えだ。
フォーラムでは、賀川の研究者で、賀川ゆかりのコープこうべ協同学苑苑長も務める野尻武敏・神戸大名誉教授が「よみがえる巨人 賀川豊彦」と題して基調講演。賀川が資本主義でも共産主義でもない「第三の道」として協同組合主義を提案した経緯に触れながら、世界大恐慌などに見舞われた当時と、格差社会にあえぐ現代との類似性などについて述べる。
「賀川豊彦の現代的意義について」と題したシンポジウムもある。貧困や格差、環境などの問題が噴出する今こそ、賀川が唱えた「友愛」「互助」「平和」といった考えが求められているとの立場から意見を交換。コーディネーターを田辺健二・鳴門市賀川豊彦記念館長が務め、パネリストとして山下俊史・日本生活協同組合連合会会長、原耕造・NPO法人生物多様性農業支援センター理事長、濱田陽・帝京大学准教授(徳島県出身)の3人が出席する。
入場無料で、パネル展示もある。
徳島実行委は6月に発足。11月には賀川に大きな影響を与えた米国人宣教師チャールズ・ローガン、ハリー・マヤスの子孫を徳島に招く。
賀川は旧制徳島中学校時代にキリスト教の洗礼を受け、貧しい人々を救おうと活動する後の人生へと歩み始めた。スラム街での救貧活動のほか、労働組合運動、協同組合運動など各種社会運動の先頭に立って活躍。「死線を越えて」など多数の著作も残した。1950年代にノーベル平和賞候補だったことは知られていたが、40年代に同文学賞の候補になっていたことも9月、明らかになった。