280人、軌跡を再評価 賀川豊彦献身100周年フォーラム 【徳島新聞】

 280人、軌跡を再評価 賀川豊彦献身100周年フォーラム徳島新聞

 徳島が生んだ社会運動家賀川豊彦(1888〜1960年)の業績を顕彰するフォーラム「賀川豊彦の再評価−21世紀のグランドデザイナーとして」が10日、徳島市内のあわぎんホールであった。県内外から約280人が参加し、格差社会の今こそ、貧困と闘った賀川の思想を見直そうと確認した。

 野尻武敏神戸大学名誉教授が「よみがえる巨人賀川豊彦」と題して基調講演した。評論家の大宅壮一が「運動と名のつくものの大部分は賀川豊彦に源を発している」と記していることや、国内以上に海外で有名だったことを紹介。「戦前はみんなが名前を知っていた」という賀川の存在の大きさを強調した。

 米国発の金融恐慌を機に、世界の体制が変わり始めているとし「賀川の協同組合主義や世界連邦運動をわれわれが展開する時期。世界を助け合いの精神で改革する必要がある」と力を込めた。

 続くシンポジウムで、山下俊史・日本生活協同組合連合会会長は、初代会長だった賀川の軌跡に触れ「賀川の『一人は万人のために、万人は一人のために』の思想をどう生かすか考えたい」と提案。原耕造・NPO法人生物多様性農業支援センター理事長は「21世紀は人類と地球の生き物の『協同』が必要」と指摘した。

 冒頭であいさつした田辺健二鳴門市賀川豊彦記念館長は「賀川が以前に主張したことは、米国のオバマ大統領、日本の鳩山首相が今言っていることと一致している」と述べ、再評価を求めた。

 フォーラムは、賀川が神戸市で救貧活動を始めてから100年になることにちなむ「献身100年」記念事業徳島プロジェクトのメーン行事として行われた。