金在一牧師が翻訳した賀川豊彦伝

 徳島市在住の小説家、林啓介氏が30年前に書いた賀川豊彦評伝『阿波の偉人伝 時代を超えた思想家賀川豊彦』がこのほど金在一(キム・ジェイル)牧師らによってハングルで翻訳され韓国で出版された。韓国では、『友愛の政治経済学』も翻訳出版され、近く『キリスト教入門』も出版される予定となっており、ちょっとした賀川豊彦出版ブームとなっている。
 ソウルで会った元文化相で『縮み志向の日本人』の著書で日本でも著名な李御寧(イ・オリョン)氏は「いま、韓国は日本と同様出口の見えない世の中になっている。こういう時代にこそ賀川豊彦の生き様が必要なのだ」ということを話した。
 なるほど、韓国でも賀川といえば「世直し」的イメージがあるのかと合点した。日本では忘れ去られた存在となっているが、韓国ではキリスト教徒が多く、牧師たちの地位は日本では想像もできないほど高い。金在一牧師のような方々によって賀川にもう一度光を当てようという運動が展開されれば、裾野の広い運動になるのだろうと想像し、うらやましくも思った。(伴 武澄)