毎日新聞「今週の本棚」に『Think Kagawa ともに生きる』
今週の本棚・新刊:
『Think Kagawa ともに生きる−賀川豊彦献身100年記念事業の軌跡』
(賀川豊彦記念・松沢資料館/家の光協会・1575円)
◇『Think Kagawa
賀川豊彦は明治〜昭和期に活躍したキリスト教思想家、社会運動家で、1960年に没した。「献身100年」に当たる昨年、各地で記念行事が開かれ、久々に注目を浴びた。
「献身」とは、賀川が神戸にあったスラム街に住み込み、貧民救済と伝道に身を投じたことを指す。生誕100年(88年)の時よりも話題になったのは、近年の金融危機で「貧困」が社会問題化した世相の反映でもあるが、いかにも賀川らしい。
本書は、グラミン銀行のムハマド・ユヌス、宗教学者の山折哲雄ら多彩な人々がシンポジウムなどで行った発言を収めた。単なる事業報告ではなく、賀川がノーベル文学賞候補だったことが明らかになるなど、この間の新聞報道や関連出版物のデータも掲載し、有益な記録だ。(壱)
毎日新聞 2010年11月21日 東京朝刊
http://mainichi.jp/enta/book/hondana/news/20101121ddm015070004000c.html