1923年2月、神戸に復活共済組合を設立

 大正11年11月の「身辺雑記」にイエスの友会で共済組合を組織するとの記述があり、その三ヶ月後には「設立」したという記述がある。えらく早い時期から賀川豊彦は「共済」を開始しているのに驚いた。「身辺雑記」は賀川のそれこそ身近で起こったことや思うことをつれずれに綴ったもので、機関誌「雲の柱」で最も親しく読まれたコラムではないかと想像している。90年を経た今でも考えさせられることが多く書かれたいる。(伴 武澄)

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 十一月 △私等の同志のものでいよいよイエスの友を中心とする共済組合を組織することになりました。
 それは、今日迄の相互扶助の無い教会内部の欠点を補ふ為めに、病人を相互扶助で助けて行かうと云うのであります。先づ神戸だけでも実行しようと云ふ計企をたてゝ居ります。それは毎月三十銭の会費で、病人に一週十円だけ見舞金を御贈りする計画です。何れ詳しいことの会則を「雲の柱」で発表しますから、各地の支部でも、それを実行して下さいませ。そうして全国的に団結すれば相当に強いものが出来ると思ひます。
 △今日までの教会には、相互扶助の分子が実に少いから善く無いと思ひます。之からはどうしても、相互扶助の力を強くして、眼に見え無いところで繫って居るやうに為無ければ駄目であります。それで我々は之を実行する為に務めて有力な相互扶助を宗教的に実行し、クリスチャンの肺病院を経営し、クリスチャンの癩病院を経営せねばならないと思ひます。もしも日本の二十万人のクリスチャンが毎月三十銭宛相互扶助に費すならが、六万円の金があります。一人の病人に毎月五十円かゝるとしても一千二百人の病人を収容することが出来ます。私はどうかして、そうやうな有力な運動が漸次盛んになるやうにしたいものだと考へて居ります。
 △日本にイエスの道の広まら無いのは、全くこの相互の愛欠乏から来てゐるものと私は断定するのであります。
 △私は最近茂野氏の好著『肺病に直面して』と云ふ書物を拝見して、心からうれしく思ひました。私は肺病院で四ケ月送った経験上、今日日本でサンタリアム療法の必要を痛感して居るのであります。イエスの友の復活共済組合が日本に於ける模範的サンタリアムでも経営出来るようになれば誠に幸福だと思ひます。(六軒長屋より)
 大正十二年二月 △神戸ではいよいよ復活共済組合の事業を開始致しました。段々全国に拡めるとよいと思ひます。教会とは相互扶助の団体を云ふのではありませんか。相互扶助がなくて教会と云ふものがあるならばイエスの弟子の教会ではありませぬ。(長屋の南京虫