世界歴史の一章を書け

  世界歴史の一章を書け
   ――征服なき世界国家の建設を急ぐ――

 世界連邦シカゴ案は、アジア地区を三つに分類して、極東地区(日本・支那・朝鮮)印度地区及び南洋地区の三地域としている。然し、この三地域は、昔から宗教的にも、経済的にも、一つの地域として互に交流を保って来た。

 この度広島で開かれる世界連邦アジア会議に於ては、世界歴史を飾る最も意味の深い武力に依らず征服によらず、友愛と互助の力に依って、アジア連邦議会を組織し、搾取なき協同組合貿易を樹立し貿易に依る金融の円滑を計り、東洋と西洋の融和を計らんとする、民間外交としてはアジアにかつてなかった世界会議である。

 豊臣秀吉徳川家康ジンギスカンでさえ考え得なかった一大理想が、世界平和をあこがれる多くの同志達に依って要求せられ、広島を基点とする新しい平和社会を創造せんとする新世界の創造に乗り出した。

 一六二〇年。英国南岸プリマスを乗り出したメーフラワーの巡礼者が、米大陸の文化を何人が創造すると考えたか。我々を幻影を追う者と笑う者は笑え。原爆を創造した科学的発明時代に、社会科学的の発明もあり得る。世界連邦の会議はその発明の一つである。
 新生アジアの独立国よ、軍備を急ぐ前に軍備を必要としない世界国家の機構を急げ!  (一九五二年十一月号)