アジア連邦議会への第一歩

  アジア連邦議会への第一歩

 アジア連邦議会への第一歩が踏み出された。それは征服によらず、強制によらず、合意と合法による好意の連邦運動の第一歩として、雄大な構想が夢よりも濃く、しかし、現実の世界に画き出された。世界連邦アジア会議広島大会がそれであった。世界十四ケ国より三百名のものが参集し、いともなだらかに、いとも厳粛に、再び原爆の悲劇を繰返さないことを誓うと共に、新しき「地球国家」を作る為めに、先ず地区別連邦の一環として、アジア連邦を創成すべきを約束すると共に、その第一歩としてのアジア連邦議会を創設すべきを約束した。

 絶対主権の主張は戦争の醸造者である。アインスタイン博士の広島大会へのメッセーヂの如く、主権を制限して、地区連邦を組織し、更に、地球大にまとまり、人民代表制を以って議員を選出する法治社会を造れば戦争は無い筈である。広島大会が、その第一歩を刻んだことは、この上なき感謝である。日本が永年主張して来た、東亜共栄圏の理想は我らの如き、世界連邦アジア議会によってのみ達成出来るのだと、印度代表の凡てが発言したことも、我らの注意をひいた。

 第一歩は、既に踏み出された! 之れからが大変だ。我らの錐の先をとぎすませて、あらゆる障害を打ち貫く用意が必要である。  (一九五三年一月号)