全世界の軍備撤廃の方へ

  全世界の軍備撤廃の方へ

 全世界軍備撤廃の方向へ今年も努力すべきである。コメット飛行機でロンドンから東京迄僅二十二時間で飛べる。昔から大名の領地はその日のうちに旅行の出来る地域に限ると云われたものである。

 ロンドンから東京迄一日以内に旅行が出来るなら、もうアジヤとヨーロッパは一つの連邦国家になってもよい筈である。幸にも一九五五年国際連合憲章が改正されなければならない規定がその第一〇九条に盛られている。この時、五大国家の拒否権を整理し主権国家のような闘争性の団体の集合である国際連合を根本的に改造する必要がある。それには日本が、天皇主権より人民主権に移ったように、世界二十四億の平和を希望する民衆を主権の中心にすればよいのである。

 フォード平和財団のクラーク氏が言う如く、五百万人に一人の世界議会代議士を選出すれば四百八十人で足りる。この世界議会を国際連合衆議院とし、今のニューヨークにある国際連合組織を上院とすれば世界平和は来る。そして世界列国は凡て軍備を撤廃し、世界警察を設け、世界裁判所をつくればよいのである。

 七百二十五人あった印度の大名が、独立インドの中に黙って這入っていたことを考えると世界連邦への進化は、国際連合にとってそう困難ではない。原子力時代に戦争ほど馬鹿気た社会病はない。我我は断然全世界の軍備撤廃の為めに立ち上ろう。  (一九五三年二月号)