世界議会・世界裁判所・主権制限
世界議会・世界裁判所・主権制限
現在の国連総会は各国の「国」の代表者の会議であるからこれを上院とし、下院には、世界人民の選挙する世界連邦議会を作るようにしたい。その代表は人口五百万に一人とすると世界で四八○人となる。下院で議決したことに上院が反対しても、もう一度繰り返して下院が議決したならば、それは法律として制定されるようにしなければならない。
現在の安全保障理事会の制度はジュネーヴ時代の国際連盟体制からみれば進歩したものではあるが、大国の拒否権などのため実際の活動ができないでいる。またへーグには世界裁判所がおかれているが、これは勧告はしてもその裁定を強制することはできない。そこでこの二つを一緒にして世界裁判所が判決を下したならば安全保障理事会が直ちにそれを実行に移すことゝし、そのために適当なだけの世界警察をおく。それができたならば各国の常備軍というものは全廃する。
ヨーロッパではすでに一九四九年の五月五日に、ヨーロッパ議会が成立しており、シューマン・プランの実現など、本式の連邦の成立もこの二、三年のうちとみられている。すでにフランス、イタリヤなど世界平和のためには、自分の国の主権を多少制限しても差支えないということを、憲法に明記した国々の中に最近オランダも数えられるようになった。このことが世界各国の憲法にはっきり示されるようになればいいのであって、日本の憲法もそろそろ変えようなどという人もあるが、同じ変えるのなら世界連邦を作るために、日本の主権を制限しても差支えないというように改正したいものであ
る。 (一九五三年三月号)