世界警察制度を作れ

  世界警察制度を作れ

 ロシアは口に「平和」を唱えて、手で剣を磨き、アメリカは自分が死ぬことをいやがって、人に武装を要求する。

 それでも「平和」を口にするだけ、ロシアに少し良心が残っていると考えて善い。いずれにしても、世界が戦争を恐れていることは事実だ。この戦争を世界人類の野蛮行為とする世界警察制度が生れるまで、世界に戦争はなくならないだろう。

 十九世紀の初頭、ナポレオン戦争の最中に、南洋の喰人種を教化する為に二隻の帆船を建造したジョン・ウィリアムスの一行二十四人の同志は、パン屋、裁縫工、大工、ペンキ屋、農夫、鍛冶工の一団であった。彼らはその中心人物を失い、一旦ロンドンに引返したが、今日彼らの努力は報いられ、喰人種の影は南洋から姿を没したこととなった。

 この喰人種の行為に似ているのが、今日の戦争である。喰人手段が人類に取って、恥しいものならば、共産主義を拡めるに戦争を以ってすることも恥しいことであり、資本主義を防衛するために、戦争手段に訴えることも恥しいことである。

「恥」を知れば、戦争をやめて、世界警察制度を直に創設すべきである。「恥」を知らない間、人間は発狂状態になって、自滅の一途をたどるかも知れぬ。だが我らは、この自滅を逃れて速に、人類自滅の途より逃れなければならぬ。世界警察を作れ・・・之は日本のためのみならず、ロシアのためでもあり、アメリカのためでもある。否全人類を救う唯一の道である。  (一九五三年十一月号)