不滅社会の創造

  不滅社会の創造

 武力や暴力で破壊出来ない世界は、叡智の世界であり、愛の世界である。いな武力や暴力がとゞかない世界にまで知識を進める必要がある。人類は知識が進歩した為に、猛獣から逃げる道を知っていた。高度に知識を進歩させ、社会連帯意識を発達させ、無戦世界を創造しなければならない。

 古代ギリシヤの国家群は暴力で滅亡したが、彼らが発明した幾何学、三角術、天文学は不滅の原理として今でも残っている。キリストが世界的に発明した連帯意識による世界の再創造も、また社会原理として根本的なものである。もし不滅の社会を造ろうと思えば、ギリシヤ文化と社会連帯の創造にまたねばならない。これなくして、無戦世界の創造は絶対に不可能である。

 野蛮な文化より高度の文化に進んだ近代社会は暴力、武力を使用する範囲を拡大して来た。今日残っている社会は、国家と称する武装組織である。この武装社会を、叡智と連帯意識の社会におきかえさえすればこの世界に戦争はなくなる。

 生活の自由と結婚の自由と、人格の自由の三つの自由が保障せられる世界が連帯的に結びつきさえすれば、もう戦争をする必要はなくなる。結果我々の発明は武力では解決出来ない。あくまでも精神力の解決に待たねばならない。  (一九五四年二月号)