ベルリン会議と欧州の平和

  ベルリン会議と欧州の平和

 ドイツ統一問題とオーストリアの独立問題を中心にして、ベルリン会議が開かれている。

 ドイツは一九五〇年頃西ドイツへ、東ドイツから千七百万人逃亡し、東ドイツには千九百万人残って居り、二百万人を除く外はルーテル教会の信徒であることになっていたが、唯物共産主義の強力に圧倒せられていた。また西ドイツ大統領ホヰス博士が私に語ったところによると、西ドイツ人民の中二千三百万人はカトリックであり、二千二百万人はプロテスタントであった。つまり百万人の差で西ドイツは、カトリックに圧倒されていたのであった。第一次大戦中の英雄マルチン・ニムラー氏の語るところによると「マルチン・ルテルのドイツは亡びてしまった」と云うことであった。

 オーストリアは二百数十回の平和工作に失敗し、今尚、共産主義自由主義が権力争いをつゞけている。しかし、世界連帯意識の上に立たなければ結局、平和は生まれるものではない。その目的の為めにロシアも西欧諸国も互に歩みよって、ドイツとオーストリアを独立させなければ、世界の平和は回復できないであろう。階級利己心の為に他民族の自由を無視すれば、永久に西欧に不安はつづく。階級利己心は民族自由の意識に打勝つことはできない。このことは西ドイツが戦後ストライキを解消していることを見てもわかる。米ソは大いに反省して、ドイツ民族に独立を与える可きである。  (一九五四年三月号)