国際協同組合と世界連邦

  国際協同組合と世界連邦

 世界連邦を虹のようなものだと考えてはならない。虹ならば――すぐ消えるであろう。しかし世界連邦は政治的に、社会的に、経済に、道徳的に、宗教的に、教育的に組立てられるものである。日常の平和闘争なくして世界連邦を築くことはできない。

 世界の全人類が連帯的に、一協同体につながっているものであることを、最も現実的に示すものは国際協同組合である。それは台所につながり、各人の胃袋につながる。協同組合は営利を目的とせず、資本の集積を排除し、権力の集中を認めず、金銭や資源以上に人格を重んずる。人格至上の民主主義を主張する。協同組合は自由統制による生産消費の企劃を計り、失業と不況を絶滅し、物価安定と生活の向上を目的とし、国際平和なくして真の消費経済の成立し得ないことを、最も早くより世界に宣言している。

 国際協同組合の拡大強化はやがて国際平和の基礎をなすものである。

 日本の各種協同組合は、一九五二年十一月、世界平和を目的として協議会を作る約束をしたまゝ茲に二年を経過した。既に各種農業協同組合も中央会にまとまり、統一ある歩調を取って再出発させんとしている。私はこの機会に、生活協同組合も、漁業協同組合も、森林組合も、みな協同組合協議会に参加し、世界平和の為に一層の努力を払うべきであると思う。徒らに局所的な協同体として、小さく塊るだけでは日本も救えず、世界も救えないと思う。

 日常闘争を通じて世界平和を実現すべきことを私は主張する。  (一九五四年七月号)