平和は生活より始めよ
平和は生活より始めよ
――万国郵便同盟に学べ――
世界平和は生活の上に築く可きものである。抽象的な平和論を百万回述べ立てた所で、世界平和は来ない。生活の安定がくずれると平和はすぐ破れる。だから。世界食糧資源の問題、世界人口の増加世界労働状勢、世界工業資材、世界生産物運輸、分配経路等の諸問題を細かに解決して行かなければ永久の平和は来ない。
さればと云って、機械的警察国家の形をとる全体主義統制では、一国の経済安定は計れても、世界の隅々までその機械的警察制度で縛ることはできない。その反対にすれば、資本主義的自由競争は、戦争を新しく準備するだけの話だ。
そこで、世界協同体の経済機構を意識的に組立てて行く外に道はない。そこでは人道主義的自覚が、社会経済的協同体組織の具体性を持たねばならない。経済が時間的流転を貫く信用組織を要求する場合に、之を資本家的唯物的機械組織に持って行かないで、人格的協同体として出発せねばならぬ。
たとえば国際的生命保険協同組合同盟の形による万国社会保障制度が発展させることができるならば、世界平和は列国の門口にまで来ていると云って善い。
去る昭和三十年一月十九日島根県松江市は、世界連邦都市宣言を行った。実に日本文化の為に誇る可きことである。広島市、綾部市、亀岡町と之で四ヶ市と二村合計六個の自治体が「世界連邦領」の宣言を行った。で、更に一歩を進めて、これらの自治体を通して、世界生命俣険協同組合同盟の如きものを出発し、万国郵便制度の如き、国境を超越した国際的協同体運動が出発さる可きであると私は望む次第である。日本の農村は既に之を出発させている。急ごうではないか! (一九五五年二月号)