世界的法治社会の建設

 世界的法治社会の建設

 マレンコフ内閣が崩壊した。そして、ブルガニン元帥が表面に出てきた。周恩来は台湾は中共の領土であると主張し、ソ連の外相モロトフ周恩来の主張を裏書きした。そして台湾海峡米国第七艦隊は、台湾守備に急がしい。

 戦意は戦意は産み、軍備は軍備を招く。暴力革命を本領とする唯物主義者が、平和を主張しても、資本主義国家は軍備を忘れず、戦争放棄した日本まで再軍備に巻きこまれる状態におかれている。

 強権をにぎっている間は、再軍備をとき、野に下れば再軍備の不必要を説く、所謂保守政党の政治家たちは、絶対多数の頭数を揃えると、また再軍備を説くであろう。

 人類の理想と使命を忘れ、他人を征服せんとする意欲を新しい形で産業社会に割込まんとする人々の禍である。資本主義の社会征服も征服なれば、筋肉労働階級による、一般社会の征服も征服である。

 社会保障による世界平和は、世界協同体より生まれ、社会奉仕の実践によって組織せられる。ソ連がピーター大帝の帝国主義共産主義の形で前進せしめ、アメリカが、神聖口ーマ帝国の後継者のつもりでおれば。原水爆の破裂によって人類を破滅せしめるであろう。

 この危機より救うものは、善意による世界連邦組織の外に道は無い。世界連邦運動は兵力によらず、強権に従わず、善意と、奉仕と、互譲の大道によるものである。それは人類究極の社会道徳に準拠するものである。人を益して、己をも益せんとする互助友愛の社会組織を法治社会と云うならば、世界連邦運動は、世界的法治社会の建設活動である。

「人のものは己のものであり、己のものは己のものである」と主張する思想の残る間、世界連邦は建設でない。「己と人が共に楽しむ」意識の誕生する日に世界の法治が目醒める。(一九五五年三月号)