台所の隅から起る大衆運動を

 台所の隅から起る大衆運動を

 世界情勢は冷い戦争から冷い平和へと移ってきている。その大きな理由はロシアにおける昨年の農業の不作が原因だといわれている。マレンコフからブルガーニンへと政権が移っても、この大勢にはかわりがない。西ドイツが独立し、オーストリアの中立化ができた。ロンドンでは軍縮会議が緒につき、サンフランシスコでは国連創立十周年記念総会が開かれ、国連憲章の修正への機運が動いている。

 われわれはこのような動きに応じて、一昨年すでに国連憲章修正に対する日本案を発表し、昨年五月には国連未加盟国会議を開いて国連の全世界化を要求した。しかし不幸にも政府は日本の平和憲法をもう一度戦争憲法に書き直そうという下心をもって、憲法調査会を作ろうとしている。この時にあたって、日本軍国主義を敗退せしめたマッカーサー元帥が、リーダーズ・ダイジェスト五月号で戦争放棄論を唱えていることは力強い。

 即ちマッカーサー元帥は、戦争を完全に放棄した日本の憲法こそ、原水爆時代の人類に進むべき道を示したものであり、欧米諸国はよろしくこの日本の例にならうべきだといっている。連合国の勝利に最大の貢献をなした将軍の口から出たこの言葉は、聞く人の襟を正さしめるものがある。

 われわれはあくまでこの平和憲法を守りぬき、これを世界憲法にまで発展させなければならないが、その方法の一つとして幸いに今全国に世界連邦都市宣言運動が着々として進んでいる。すでに六つの都市が宣言をしたが、今また長野県松代、島根県平田の両市でその準備が出来たと報告されている。六月九日には綾部市で、世界連邦都市の連絡協議会が開かれ、これを機としてこの運動の大発展が見込まれており、これに寄せる期待は大きく、全国各地の同志の一そうの努力をお願いしたい。

 今回の臨時総会の意義は、第一に日本平憲法擁護のために同志の力を結集するにあり、第二にサンフランシスコの国連十週年記念総会を機として。国連に強く働きかけることにある。この総会を出発点として、問題の全国下部組織を強化、拡充する必要があるが、そのためには①婦人層、②青年層、③労働組合への働きかけのために特別の計画をたて、またこの運動を真に「台所の隅から」まき起る大衆運動とするための日常闘争を推し進めなければならない。(臨時総会挨拶より)  (一九五五年七・八月号)