黎明41 物質の彼方への信号
物質の彼方への信号
魂よ、お前は。どうしてこんな不思議な世界に生きてゐるのだ。お前は、狭い世界に囲まれて、呼吸のつまるやうな生活をつづけてゐるが、目を瞠って、お前の周囲を見よ。そこには、土と。雑草と、松と。笹と、小鳥と、花と、星が、おまへの番をしてゐるではないか。おまへが別に頼みもしないのに、それらのものは。みんな、おまへを取巻いて、おまへに面白い通信をしてゐるではないか。だから、おまへは、おまへ以上の不思議なものがおることを否定出来ないだらう。それらのものは、絶対の可能性によってつくり出されたものである。それどころではない。おまへそれ自身の存在が、絶対の可能者の力によって、生れたことを忘れてはならない。
言葉で尽せない神秘が、物質といふ扉の向うから信号してゐるやうに、私には響く。ああ、どうして私は、こんな不思議な世界に生れたのだらう。