綾部から発信続く中東和平のへのアクション 伴 武澄

 10月25日(土)世界連邦運動協会が中心となったシンポジウム「世 界 連 邦 を 実 現 し よ う〜世界連邦運動の更なる進展と、地球環境について考える」が国連大学のウタントホールで開催され、約200人が集まった。

 世界連邦運動60周年記念を記念する大会でもあった。「未来バンク事業組合」理事長の田中優氏による「人類共生のために地球環境を守ろう」と題する基調講演の後、パネルディスカッション「これからの世界連邦運動について」があり、世界連邦運動協会会長の植木光教氏、 森山眞弓衆院議員、宗教団体大本副本部長の鹿子木旦夫氏、綾部市長の四方八洲男氏の4人がそれぞれ世界連邦に関する最近の活動とこれからの運動について熱っぽく語った。

 森山氏は、9月の国連総会の際の麻生太郎首相の演説が喝采を浴びた逸話を紹介した。小金井市が今夏、実施したイスラエルパレスチナの戦争遺児の招聘事業プログラムだ。

 もともとは綾部市の四方市長のアイデアで始まった。綾部市は日本で最初に世界連邦都市を宣言した自治体である。市長は、「世界連邦宣言自治体全国協議会」の会長として、世界平和に何かできないか考えた。2003年にイスラエルパレスチナの戦争遺児計14人を綾部市にペアで招待、ホームステイや茶道といった日本文化を通した交流会などを実現した。このプログラムはその後、岡山市徳島市亀岡市に受け継がれ、今年は小金井市がバトンタッチした。

 四方市長は昨年8月には、綾部でのプロジェクトに参加したイスラエルパレスチナ双方の少女の交流を描いた絵本「平和の種」を3000冊作製した。今年1月、両国を訪問し、学校を訪れ、小中学生に絵本を手渡したほか、2003年に綾部市を訪れた子どもたちと再開。イスラエルパレスチナ双方の外交首脳に対しては中東和平会談を京都で開催するよう提案した。

 四方市長の主張はこうだ「いま日本で解散風が吹いている。しかし世界連邦を公約に掲げる政党は皆無。時代が読めないに違いない。パレスチナイスラエルの戦争遺児を招聘するプログラムは1000万円以上かかったが、市が負担したのは100万円だけ。あとは寄付に頼った。目標を掲げれば必ずお金もついてくる。われわれがお金を集めて、若い世代に委ねれば、必ず成果が生まれる」。(伴 武澄)

 中東和平プロジェクト。京都で中東和平会談開催を、綾部市長が提案。

 麻生太郎首相の国連演説 2008年9月25日、ニューヨーク

 議長、話題を転じ、夏の終わりの、ある出来事をご紹介したいと存じます。

 ところは、東京郊外の小さな街。去る8月末、ここに海外から9人の高校生がやって来ました。日本に来るのは初めてです。慣れない料理に顔をしかめるなどは、どこにでもいそうな高校生のビジターと、変わるところがありません。

 1つだけ、ありふれた招聘プログラムの参加者に比べ、彼ら、彼女らを際立たせていた特徴がありました。4人がパレスチナ、5人がイスラエルの高校生で、全員、テロリズムを始めとする過酷な中東の現実によって、親族を亡くした遺児であったという点です。

 議長、日本の市民社会が地道に続けてくれている、和解促進の努力をご紹介しました。高校生たちは、母国にいる限り、互いに交わることがないかもしれません。しかし遠い日本へやってきて、緑したたる美しい国土のあちこちを、イスラエルパレスチナそれぞれの参加者がペアをなして旅する数日間、彼らの内において、何かが変わるのです。親を亡くした悲しみに、宗教や、民族の差がないことを悟り、恐らくは涙を流す。その涙が、彼らの未来をつなぐよすがとなります。

 包括的な中東和平には、それをつくりだす、心の素地がなくてはならぬでしょう。日本の市民社会は、高校生の若い心に投資することで、それを育てようとしているのであります。

 ADDRESS BY H.E. MR. TARO ASO PRIME MINISTER OF JAPAN AT THE GENERAL ASSEMBLY OF THE UNITED NATIONS Sep. 25, 2008 New York

Mr. President,

Allow me now to change the topic to relate to you a small episode that took place this past summer.

This transpired in a small town on the outskirts of Tokyo. Nine high school students from abroad arrived there at the end of August, and it was their first time to set foot in Japan. There was nothing unusual about these very typical-looking high school student visitors grimacing at the unfamiliar food they were presented with.

But there was one regard in which these young men and women stood apart from participants in conventional invitation programs. These high school students -- four Palestinians and five Israelis -- had all lost at least one relative as a result of terrorism or other aspects of the severe situation facing the Middle East.

Mr. President,

I have just introduced one of the ongoing efforts by Japanese civil society to promote reconciliation. These high school students may have no chance to interact with each other when they are back home. But for the several days that they are in a faraway country, travelling in pairs made up of Israelis and Palestinians to here and there across the beautiful and verdant land of Japan, something changes inside them. These young people come to understand that religion and ethnicity make no difference when it comes to the sorrow felt at losing a parent, and they often cry tears upon coming to this realisation. Through these tears of understanding they will come to see ties between their futures.

For comprehensive peace in the Middle East, what is necessary is the mental "groundwork" that will make such peace possible. By investing in the young minds of high school students, Japanese civil society is working to foster this groundwork.