ボランティアの今後 有識者ら意見交換…神戸でシンポ【読売新聞】

 生活協同組合の創設者として知られる神戸出身のキリスト教社会運動家賀川豊彦(1888〜1960年)の功績をたたえるシンポジウム「神戸から地球へ」が13日、県公館であった。ボランティアの今後のあり方などをテーマに活発な意見が交わされ、市民ら約300人が聞き入った。
 賀川が貧しい人々の救済活動を始めて今年で100周年を迎え、企画された。
 「グローバル化時代が求める社会運動の国際的連帯」をテーマに、有識者ら4人が意見した。タイでスラム街の生活向上に取り組むプラティープ・ウンソンタム・秦さんは、子どもたちのために16歳で学習塾を設立。水道も電気もない貧民街での母親が隣人に米を分け与えていた逸話を紹介し、「貧しい中でも助け合うことの大切さを学んだ。『スモール・イズ・ビューティフル』の精神で、できることから始めてほしい」と訴えた。
 阪神大震災の時、負傷者の救護活動を指揮した国際看護師協会長の南裕子さんは、災害時の看護教育が不十分だったと指摘。その上で「震災で培ったことを神戸から世界に語り継ぐべき」と強調した。(2009年07月14日 読売新聞

 賀川豊彦顕彰シンポ:被災者支援で平和を 野田正彰・関学大教授ら神戸で語る毎日新聞
  関東大震災(1923年)直後に被災者の救護活動を行うなど、日本におけるボランティア活動の先駆者として知られる賀川豊彦(1888〜1960年)の業績を振り返り、今後の社会連帯のあり方を考えるシンポジウム「神戸から地球へ 共に生きるために」が13日、神戸市中央区下山手通4の県公館であった。
 賀川がキリスト教伝道を通じた社会活動をスタートさせて1世紀に当たるのを機に、グローバル化で広がる経済・社会の格差解消を目指して、県とアジアボランティアセンターなどが企画した。
 関西学院大の野田正彰教授(精神医学)は、「阪神大震災のボランティア活動では、トラブルを避けるために被災者と接触を避ける傾向があった。自分で考えて行動して困っている人を発見し、被災者に寄り添って生きる力の支えになることが必要」と指摘。「賀川は災害支援を通して平和な社会をつくろうとしていた。我々もその精神に学ばなければならない」と話した。
 また、貝原俊民・前県知事の基調講演や、「マグサイサイ賞」受賞者でタイ・バンコクのスラムで献身的な支援活動を続けるプラティープ・ウンソンタム・秦さんらの討論も行われ、約300人の市民が熱心に耳を傾けた。【近藤諭】