乳と蜜の流るゝ郷、劇画死線を越えて

 先日、家の光協会の出版者と会食した。8月末発刊予定の『乳と蜜の流るゝ郷』と10月刊行予定の劇画『死線を越えて』の表紙が出来上がったというのでみせてもらった。『乳と蜜の流るゝ郷』は『一粒の麦』(自費出版)、『死線を越えて』(PHP研究所)、『空中征服』(不二出版)に次いで4冊目の復刊となる。90年代までは現代教養文庫が出版した賀川の小説が何冊か書店に並んでいたが、同社の倒産で賀川の著作はほとんどなくなってしまっていた。300冊とされる著作からすればまだ微々たるものだが、出版社の協力を得て少しずつ賀川豊彦が復活している。
 劇画『死線を越えて』の方は、劇画『蟹工船』を描いた藤生ゴウ氏の作画で、現在順調に作業が進んでいるそうだ。ぜひ期待していただきたい。
 また徳島では地元を題材にした小説『その流域』の復刊の検討が始まっていることも付け加えておきたい。(伴 武澄)