見直そう賀川豊彦 映画やフォーラム【朝日新聞徳島版9月3日】
見直そう賀川豊彦 映画やフォーラム【朝日新聞徳島版9月3日】
徳島で幼少期を過ごした社会運動家、賀川豊彦(1888〜1960)が貧民街で救済活動を始めてから、今年12月で100年。これを機に賀川の活動と思想を改めて見直そうと、今月から12月にかけて映画の上映やフォーラム、著作展が企画されている。(柳沢敦子)
賀川は大正から昭和にかけて、農民運動の指揮や生活協同組合の創設、関東大震災での救援、幼児教育の推進などで活躍した。一連の活動の始まりとなる神戸市の貧民街へ移住したのは、1909(明治42)年の12月24日だった。
出身は神戸市。4歳で両親を亡くし、現在の鳴門市に住んでいた祖父母に引き取られた。第二堀江尋常小学校(現・鳴門市堀江南小学校)、旧制徳島中学校(現・県立城南高校)に通った。旧制中学の時、英語を習っていた徳島市通町のキリスト教会で洗礼を受け、困窮する人々の救済を志す原点になった。
各種イベントは、鳴門市賀川豊彦記念館(088・689・5050)や生協、農協、労働団体などが6月に発足させた「賀川豊彦献身100年記念事業徳島プロジェクト」が企画した。
県内各地で上映される映画は、賀川の自伝的小説「死線を越えて」の実写版(88年、山田典吾監督)。小説は大正・昭和に400万部のベストセラーとなり、今年4月、PHP研究所から復刻版が出た。
日程は、5日=鳴門市文化会館▽6日=藍住町民シアター▽11、12両日=徳島ホール(徳島市)▽12日=海南文化館(海陽町)▽19日=小松島市ミリカホール▽26日=阿南市文化会館夢ホール▽27日=徳島ホール▽10月3日=脇町劇場(オデオン座、美馬市)▽4日=吉野川市アメニティセンター。
料金は前売り千円(当日は一般1300円、小中高生と60歳以上は千円)。問い合わせは、徳島映画センター(088・631・5847)へ。
10月10日には、「賀川豊彦献身100年記念事業県民フォーラム」が、徳島市藍場町2丁目のあわぎんホール(県郷土文化会館)で開かれる。基調講演は、コープこうべ協同学苑の学苑長、野尻武敏さん。パネルディスカッションでは、賀川の思想や行動が現代社会にもつ意義について考える。入場無料。
著作展は11月3日〜12月27日、徳島市中前川町2丁目の県立文学書道館。賀川の小説や詩集、童話の原本約60点や直筆の書約40点が並ぶ。11月28日には、同館で宗教学者の山折哲雄さんによる賀川についての講演会もある。