賀川豊彦の恩師、ローガン牧師の孫が来日 【徳島新聞】

 米宣教師の孫が11月来県 賀川豊彦の“人生の師” 2009/10/1 【徳島新聞

 徳島が生んだ世界的な社会運動家賀川豊彦(1888〜1960年)に大きな影響を与え、人生の進路を決定づけたとされる米国人宣教師チャールズ・ローガンとハリー・マヤスの子孫が11月に来日し、徳島県を訪れる。賀川が神戸のスラム街で救貧活動を始めてから100年の節目を顕彰する徳島プロジェクト実行委員会の招きで実現する。
 ローガンとマヤスは1900年前後に来日。徳島市内のキリスト教会「通街教会」で牧師をしていた。賀川は旧制徳島中学校に在学していた02年ごろから、通街教会などで、英会話を学ぶようになった。
 2人は賀川の優秀さを見抜き「有り余る才能を持ちながら恵まれない境遇にあった賀川を忍耐強く励まし、わが子のようにいつくしんだ」(鳴門市賀川豊彦記念館)とされる。賀川は04年にマヤスから洗礼を受け、明治学院神学予科へ進学。キリスト教伝道者として貧困と立ち向かうことになる後の人生へと歩み出した。
 子孫の招待は、献身100年記念事業徳島プロジェクト実行委が顕彰事業の一つとして検討。複数の子孫に来日を働きかけたところ、ローガンの孫に当たるオーラ・デル・マーレーさん(72)=米国サウスカロライナ州在住=と夫のジョージさん(73)が快諾した。
 夫妻は11月18〜26日に日本に滞在し、東京、神戸、徳島などを訪問。徳島では23〜25日、ローガン、マヤスゆかりの地を巡る。
 実行委はマーレーさんの証言から、マヤスの墓が神戸市の外国人墓地にあることを確認。ローガンの妻パティーが1928年に神戸市で死去し、同じ墓地に埋葬されていることも分かった。
 マーレーさんは実行委に「(米国に帰国した)ローガンを訪ねてきた賀川を印象深く覚えている」とした上で「素晴らしい祝賀行事にファミリーを代表して参加する機会を得て、ぞくぞくしている」とのメッセージを寄せた。
 実行委員長の田辺健二鳴門教育大学名誉教授は「ローガン、マヤスの子孫が、賀川の魂が生まれた土地といえる徳島を訪れてくれるのは、とても意義深い」と心待ちにしている。