賀川豊彦の文学──神戸・仲間たち・神の国 神戸文学館
「賀川豊彦の文学──神戸・仲間たち・神の国」
期間 12月17日(木)〜 3月22日(月)
1906年、徳富蘆花の「目を開け(自覚せよ)、疑いを起せ(考える)、責任を帯びよ(為せ)」の講義の聴衆の中に、明治学院生賀川豊彦の姿があった。
その後、住いが近いこともあり、蘆花と賀川は交流を重ねている。
賀川は、実に多岐にわたる社会活動を展開し、先駆者としての働きを「為」した。そして、農業、社会、経済、宇宙の問題を「考え」多くの著作を遺した知識人でもあった。
しかし、これらの社会的活動の底を流れ一貫して主張したのは、民衆に、さらに世界の人々に「自覚せよ}と、キリスト教の福音を説いたことで、外国では、社会活動家としてより伝道者賀川のイメージが強い。
キリスト教伝道から生涯はなれず、神から遣わされた使者だったのではあるまいか。
賀川は、復員のため「目を開き、疑いを起し、責任を帯び」た、20世紀を代表する日本人であり、世界人であったと思う。
神奈川県立保健福祉大学名誉教授 阿部志郎