協同組合の理論と実際(5) 賀川豊彦

 七、協同組合は如何なるものをもたらすか

 協同組合を組織すれば、いかかることになるか。

  1. 闇の起るといふ隙がなくなる。
  2. 適正價格によつて公正價格を決定することが出来る。
  3. 買出しをする必要がなくなる。
  4. 勞力が省けて、餘裕能力を生ずる。
  5. 計画輸送が充分出来る。
  6. 從つて計画生産が出来る。
  7. 不足だけ生産することが出来る。
  8. 計画的配給が容易に出来る。
  9. 親切に配給することが出来る。(不親切な配給のことを思へ)
  10. 横流しに對する不安心配がなくなる。(この安心感はいかに好ましいか)
  11. 獨占的資本主義の搾取が無くなる。
  12. 都會人と農村人の間に調和が出来、互に仲よく助け合ふ美しい精神を實現する。
  13. 暴動の惧れがなくなる。
  14. 行列買ひなどする必要はない。
  15. 買出しや、行列買ひ等で、浪費する時間がはぶけ、そのため健康を害する等のことがなくなる。
  16. 消費者が自ら生産することが出来るので、消費者の權利が認められる。
  17. 都市の消費者が、直接開墾事業に投資出来る。
  18. 食糧増産のために巨額の投資が出来る。
  19. 各種食糧の加工を消費者自らが出来る。
  20. 生産消費組合によつて、國民的大企業組織が可能になる。
  21. 失業恐慌のおそれが無くなる。

 これらのことを始めとして、その他幾多の佳花が開き、美果がみのり、鳥うたひ人も亦うたふ樂民安生、萬民鼓腹の理想郷を生み出すことが出来る。