協同組合の理論と実際(5) 賀川豊彦
七、協同組合は如何なるものをもたらすか
協同組合を組織すれば、いかかることになるか。
- 闇の起るといふ隙がなくなる。
- 適正價格によつて公正價格を決定することが出来る。
- 買出しをする必要がなくなる。
- 勞力が省けて、餘裕能力を生ずる。
- 計画輸送が充分出来る。
- 從つて計画生産が出来る。
- 不足だけ生産することが出来る。
- 計画的配給が容易に出来る。
- 親切に配給することが出来る。(不親切な配給のことを思へ)
- 横流しに對する不安心配がなくなる。(この安心感はいかに好ましいか)
- 獨占的資本主義の搾取が無くなる。
- 都會人と農村人の間に調和が出来、互に仲よく助け合ふ美しい精神を實現する。
- 暴動の惧れがなくなる。
- 行列買ひなどする必要はない。
- 買出しや、行列買ひ等で、浪費する時間がはぶけ、そのため健康を害する等のことがなくなる。
- 消費者が自ら生産することが出来るので、消費者の權利が認められる。
- 都市の消費者が、直接開墾事業に投資出来る。
- 食糧増産のために巨額の投資が出来る。
- 各種食糧の加工を消費者自らが出来る。
- 生産消費組合によつて、國民的大企業組織が可能になる。
- 失業恐慌のおそれが無くなる。
これらのことを始めとして、その他幾多の佳花が開き、美果がみのり、鳥うたひ人も亦うたふ樂民安生、萬民鼓腹の理想郷を生み出すことが出来る。