安部磯雄 ( あべいそお )

1865年(元治2)2月4日,旧福岡藩士岡本権之丞の次男に生まれた。1884年(明17)京都の同志社を卒業,1891年(明24)渡米してハートフォード神学校に学び,さらにドイツのベルリン大学に学んで帰国し,はじめ同志社,ついで早稲田大学の教授となった。彼は渡米中に社会主義者となり,キリスト教社会主義者として,わが国の初期社会主義運動の指導者のひとりとなった。生活協同組合(生協)に関しては,1898年(明31)同志社在職中に有志学生とともに最初の大学生協を設立したが,1年ほどで解散した。上京後,平民社が創立されると,これを外部から支援し,その影響によって平民新聞は生協に関心を示した。また友愛会の発足にあたっては,鈴木文治に,労働組合をつくる予備的試験的事業として,労働者に生協をつくらせることを提案し,その幹部研修会で,生協について講演するなどの活動をしており,さらに,1933年(昭8)には賀川豊彦(別項)らとともに日本協同組合学校を設立するなど,労働者の生協運動発展に貢献するところ大であった。著書に『社会問題概論』『土地国有論』『産児制限論』などがある。1949年(昭24)2月10日没。(相馬健次)
=協同組合人物略伝 【国内】から転載
http://www.ienohikari.net/data/kjinryaku/meisai/abe.htm